柔術稽古日誌「指を柔らかく」
昔は武道の稽古と言えば、夏は暑く、冬は寒い環境というのが当たり前でした。
いや今でもそういう環境で稽古しているところもあるでしょうが、うちは道場はあくまで健康第一。
暑さも寒さも身体に負担をかけないように気をつけています。
ですので冬の場合は寒ければ重ね着はもちろん靴下もOKと言っています。
足元が冷えるというのは身体にとって絶対よくありませんから。
靴下に関しては足元が滑りやすくなるので実は柔術の稽古としてはかえって良いのです。
八光流柔術の技は踏ん張らない、蹴らない動きなので氷の上でも技が同じように出来るようにしなくてはいけません。
ですので靴下を履くと滑って技にならないというのは地面を踏んだり蹴ったりしている証拠。
そういう意味では靴下を履いての稽古はむしろオススメだし、私自身も昔はわざわざ靴下を履いて稽古をしたこともあります。
さて、最近の稽古では「先」を捉える動きを色々なアプローチでやってみてます。
その一つに指の使い方。

自分の「先」である指先を上手に使うことで動きをよりスムーズに導いていきます。
例えばこんなことをやってみます。
正面から手をしっかり握ってもらいます。
握られた部分で押し返そうとすると当然衝突が起こり動けません。
そこで自分の指先を意識してすーっと指先を相手に伸ばしていきます。
すると相手の身体が抵抗感なく後ろに崩れていきます。
ポイントは押すのではなく伸ばすという感覚。
やってみるとわかりますが、いざ指を伸ばそうとしても動きがぶつかる場合は、間違いなく肘や肩などどこかに緊張があります。
なかなかリラックスしたまま動く感覚がつかめない場合は、リラックスした状態で誰かに指先をつかんでもらってゆっくりと引っ張ってもらうと上手く出来ます。
あとは指先がどの方向に向くかでも変化しますので、相手の顔に向かって伸ばすのが一番やりやすいと思います。
それと意識は指先に通しますが、指自体は絶対に緊張させません。
指を伸ばしてというと指をピンと張った状態でやる人も多いのですが、これをやると手首も固くなってしまいます。
柔術における指の使い方はあくまでは柔らかく、そして丁寧に。
イメージとしては「豆腐がつぶれないように」という感じ。
稽古の時、豆腐つぶれてませんか。