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柔術稽古日誌「重心を浮かす」

前回の稽古日誌で重心移動のエネルギーを手に伝えるというというのを書きました。

しかし重心移動のエネルギーを伝えるというだけだったら体重のより重い人や下半身の筋力のある人の方がより大きなエネルギーを作ることが出来てしまいます。

柔術の技というのはそれほど単純ではありません。
重心移動のエネルギーを手に伝えるのとセットとして考えなければならないのは相手と力がぶつけないという技術です。
斜め上1

そこでこの前の稽古では相手に対して胸を正面から押すということをやってもらいました。
もちろん腕力で押すのではなく重心移動のエネルギーを手に伝えて押します。

この時に相手に対してまっすぐ押すだけでは単純に相手との力の衝突が起きてしまいます。

そこで押すときにやや下方向から斜め上にすりあげるように相手を押します。
こうすると相手の重心は浮き上がり簡単に動きます。

説明だけ聞くと「なんだ力のベクトルを外しているだけか」と思われそうですがそう単純ではありません。
実際にやってみるとわかりますが、この動きというのは手だけで行っても相手の重心は浮き上がりません。
必ず重心移動と組み合わせないと効果が出ないんです。

斜め上2前回の稽古日誌でも書いたように腕が緩みすぎると力が伝わらないし、必要以上に腕を固めると腕力だけになってしまう。

なかなか感覚がつかめない場合は相手に腰を持ってもらいます。
この状態なら下半身の力がダイレクトに相手に伝わるのでやりやすいです。

感覚がつかめてきたら斜め上にすりあげるだけではなくそのまま山なりに重心を落としていくと相手はそのまま崩れて転がっていきます。

斜め上3
相手の重心を浮かす感覚がわかってくると相手の身長や体重などの体格差はほとんど気にならなくなります。
なにしろ重心が浮いてしまえば、体重が50キロのひとも100キロの人も同じなのだから。

最終的には重心エネルギーの移動は身体内部で行うので傍目には見えなくなりますが稽古では最初はしっかりと身体全体で大きく動いて感覚を身に着けていきましょう。

大きな動きでしっかり楷書の技を身につけてから行書、草書の技に移っていくことが大切です。

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