柔術稽古日誌「細く引き出す」
まずは手を掴まれた状態で相手の腕を丸ごと引き出すつもりで引っ張ってみます。
当然ながら相手ががっちりと力を入れた状態では動かすことは難しいです。
今度は、相手の腕全体ではなく人差し指だけを引き出すようにして引っ張ってみます。
すると今度は相手が簡単に引き崩されます。
これを行う時の注意点は以下です。
・人差し指だけを引き出す

人差し指以外の指も一緒に引っ張ってしまうと腕全体を引っ張ることになってしまい効果が出ません。
人差し指だけをしっかり意識しながら引っ張ります。
・人差し指を引っ張る時は自分の肘を使って引き出すようにする

相手の人差し指を引っ張るのですから掴まれている手首より先の部分で引っ張ると人差し指だけでなくほかの部分も一緒に引っ張ってしまいます。
相手の人差し指から自分の肘に糸が結ばれているイメージをしてその糸を肘で引っ張るように引き出します。
・引っ張る時は勢いをつけずにゆっくり引き出すようにする
相手を崩そうとするとつい勢いをつけて速く引っ張りたくなりますが、それも厳禁。
相手の腕から人差し指を通じて細い糸を静かに引き抜くように引っ張っていきます。
どうしても人差し指以外の部分にも力がぶつかってしまう場合は、掴まれている反対側の手で相手の人差し指に触れて引っ張るとやりやすいです。

この時掴まれている方の手はリラックスして、人差し指に触れている反対側の手だけで引き出すようにすること。
簡単ですが効果の高い原理なので、引投げや手鏡など型の中にも色々使ってみると面白いです。
大事なのは腕を一本の太い棒と考えずに無数の糸が束ねられていると考え、その束ねられた無数の糸の束の中からたった一本の糸だけをほそーく抜き出すように引っ張る、と言うイメージ。
最終的には皮膚感覚で行うのですが、最初はほそーい糸を引き出すというイメージをしっかりと持ちながら稽古した方が良いでしょう。
糸だけに意図するのは大事、というわけで。