柔術稽古日誌「転がればいい」
何度やってもどうしてもうまくいかない時は「じゃあ転がってみて」と言う。
面白いものでさっきまでピクリともしなかった相手が、自分が転がってしまうと簡単に崩れて一緒に転がってしまいます。
これはなぜか。
技をかける時に相手の動きが止まってしまうというのは単純に言って自分の身体が居ついた時。
自分の身体が居ついた状態で固まっているのだから相手はその身体にしがみつくことでバランスが取れてしまう。
逆に言えば身体全体の居つきが取れたならば相手はバランスを取ろうにもそもそもしがみつく所がなくなるのだからそのまま崩れてしまうしかない。
立ち技の場合は特に上半身よりも下半身が居ついてしまいがちで、その居つきが相手にとって支えとなってしまいます。
こういう状態では腕をいくらリラックスしても下半身という支えがある限り相手は転がってくれない。
そこで自分自身が転がってしまえば相手にとって支えが全てなくなるので一緒に転がってしまうのです。
ただし転がる時はあくまでも転がる為の要素を満たしていなければならない。
・かかと重心
・姿勢を崩さない
・居つかない
身体が前傾したりつま先重心になってしまうとただ相手を引っ張ったり、ぶら下がったりするような格好になってしまい相手は崩れない。

また下半身に力が入ったまま行うと居ついたままで単なる力づくになってしまうので注意。
あくまでも「転がる」ということがちゃんと出来ていないと効果はありません。
逆に言えばしっかり転がることが出来ればそれだけで技になる。
転がるの「転」という言葉には「変わる、変化する」という意味もあります。
技がうまくいかないとどうしてもあーだこーだと動きや崩す方向等を工夫したりしがちですがそういう状況を変化させるには難しく考えずに
「技に行き詰ったら転がる」
これが一番単純かつ最善な方法です。