柔術稽古日誌「省エネ姿勢」
柔術では基本的には身体をまっすぐにして立った状態を良しとするのだが、これは決して決まった形から動かないようにすることではない。
柔術では省エネな身体の使い方を目指します。
その為には必要な力だけを入れ、不必要な力を抜くというバランスが必要になる。
だからこそただ立っている時というのはなるべく最小限の力で済ませたい。
しかし姿勢が崩れていると姿勢を保持する力や立ち直ろうとする力が必要になるので無駄に力を使いやすくなってしまいます。
例えば立っている時に力が1だとして、技をする為に動く力が2必要だとしたら1+2で3で済む。
ところが立っている時も技の時も姿勢が崩れたままだとその分余計な力が必要となり、3どころか7とか8の力が必要になってしまいます。
これって非常に燃費の悪い身体の使い方である。
姿勢が良ければ技の時によけいな力を使わなくて済む。
だから技の上手い人というのは姿勢が崩れないし、年を取るほどに動きも小さくなっていき、より省エネ化していきます。
ただここまでの話からすれば矛盾してしまいそうですが、身体の使い方さえ上手になれば姿勢を崩すことも可能です。
それはどんな姿勢でも必要最低限の力を用いてリラックスして技を行うという身体の使い方が出来るからです。
だから年取って腰が曲がっても、怪我や病気などで手足や身体のバランスが崩れても、その状態をニュートラルにしてリラックスしたまま動けれるようにすれば問題はありません。
最終的には柔術の姿勢は万人共通というよりもひとりひとりの個性によって変化するものです。

それでも姿勢に関しては最初は我流にならずにまっすぐの姿勢から正しい手順を学んでいくことが大事です。
この辺は楷書、行書、草書のような順番で姿勢を崩していくような感じです。
この手順を間違えると姿勢どころか技もガタガタに崩れてしまいます。
そいう意味では一番大事なのはカタチとして姿勢ではなく稽古に正しく取り組む姿勢なのかもしれませんね。