柔術稽古日誌「皮膚というつながり」
活法研究会でやらせていただいたセミナーでは参加者皆さんが鍼灸師などの施術家。
さすが普段から患者さんの身体に触れているだけあって接触感覚は非常に繊細で上手でした。
【鍼灸師のための古武術整体】活法研究会セミナーレポート(フェイスブック内の記事です)
東松山で行われたWSでは参加者の殆どの方が何らかの武道を経験されている方達でした。
普段とは違う身体の使い方や技の考え方などを楽しんでいただけたんじゃないかなと思っています。
「ココロとカラダの学びの場」ワークショップレポート
道場での最近の稽古では相変わらず「皮膚」を中心に色々と変化させていっています。

しかし皮膚というのは身体全体を包む一枚の膜です。
例えば手首あたりの皮膚を少しずらすと、その隣の皮膚も少しずれます。
するとさらにその隣の皮膚も少しずれます。
皮膚全体が一枚の膜と考えるなら手首の皮膚を少し動かしただけで最終的に足裏の皮膚まで動くと考えてもいいわけです。
これは実際に足裏の皮膚が動くかどうかということよりも皮膚は身体全体でつながっているという意識が大事です。
例えばこんな事をやってみます。
まず最初は正面から相手の手首を握り、相手の骨や筋肉など腕全体を引っ張ってみる。
当然相手が踏ん張っていれば簡単には崩れません。
次に相手の手首の辺りの皮膚だけをゆっくりとずらすように引っ張ってみる。
すると先ほどと比べて相手は簡単に崩れていきます。

受ける側の感覚としては骨や筋肉を引っ張られると腕だけが引っ張られるような感覚ですが、皮膚をひっぱられると身体全体がひっぱり出されるような感覚になります。
この稽古法自体は以前の稽古日誌「皮膚を動かす」でも紹介していますが、現在やっている稽古のポイントは皮膚そのものの動きではなく皮膚を通じて「全体のつながり」を感じ取るということです。
皮膚というものが身体全体に繋がっているというイメージが持てるようになると柔術で言う「線」というものがどういうものなのか感覚的にわかってきます。
ちなみに皮膚というのは身体の中でも非常に繊細なセンサーですが、柔術的には皮膚は「だましやすい」器官とも言えます。
それについてはまたいずれ。