柔術稽古日誌「縛って脱力!?」
ところがどうしても腕に「伝える」ではなく腕そのものを動かしてしまいます。
腕はあくまでも動力機関ではなく伝達機関として使います。
伝達機関として腕を使うには脱力は必須。
伝達機関としてのイメージはホース。
足元から身体を通って流れてきた水がそのまま腕の中を通り抜けて相手に伝わります。
もし緊張をしてしまうとそのホースが詰まって水が流れなくなってしまいます。
※柔術稽古日誌「重心移動を伝える」も参照

しかしとにかく脱力すれば良いかと言えばそうでもない。
力を抜きすぎてしまうと身体と腕が切り離されてしまい、そもそもホースが繋がっていないので水が流れなくなってしまいます。
腕だけで動かしてもダメ、かといって力を抜きすぎて身体だけが動いて腕が取り残されてもダメ。
ちょうど良い感覚を掴むために稽古の時に身体を縛ってみました(笑)

帯でぐるぐると縛って腕を身体に固定します。
その状態で縛られた人は腕は脱力したまま、相手に手をとってもらいます。
これで準備完了。
縛られた人はとにかく自分の腕のことは忘れて足を使って重心移動を行います。
この時に自分の腕も一緒に動かそうなんて思わずに完全脱力して相手にあずけたまま放っておきます。
すると面白いことに重心移動すると相手は簡単に動いて崩れていきます。
腕は脱力したままなのでやっている人は腕にまったく手応えがありません。
それでも相手は崩れるのですから重心移動のエネルギーはしっかりと相手に伝わっているわけです。
つまり最初に言ったように腕が伝達機関としての役割を果たしているわけです。
縛られた状態からどの方向に動いても同じです。
この感覚を引き投げ等の技に応用すれば腕の力を全く使わずに相手を崩す感覚がわかるようになります。
縛るというのは身体の動きを制限するというイメージが強いですが、柔術的にはこの方法を取ることでむしろ腕の脱力がしやすくなります。
緊張ではなく緩める為に縛るのだからさしずめ緊縛ならず緩縛といったところ、かな。